本人や家族、支える人の声
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#家族や介護者
不安や悩みは一人で抱え込まず、相談窓口やサポート体制の活用を
認知症家族の会の服部さん
Profile
妻が56歳のときアルツハイマー型認知症と診断を受ける。以降、約13年間介護を経験し、発症から看取りまで自宅で妻と共に過ごす。家事の経験がない中での介護など男性が女性を介護することの難しさを感じる。そんな中、デイサービスの職員の紹介をきっかけに、「認知症の人と家族の会」を知り、現在、福山地区の代表として、自身の介護体験について地域で講演などを行っている。
家族の認知症が発覚
家族の認知症に気づいたきっかけはなんですか?
私の妻は、もともと優しくて明るい性格だったのですが、笑顔が減っていき、ささいなことで怒りっぽくなるなど感情が不安定になっていきました。同時にもの忘れが増え、「様子がおかしい」と感じてはいましたが、当時の妻はまだ56歳だったこともあり、これが認知症のサインであるということにすぐには気がつきませんでした。
認知症だと疑うようになって相談した先はどこですか?
脳の病気ではないかと思い、脳神経外科を受診しました。妻の不安を軽減するために“一緒に健康診断に行こう”と誘い、二人でMRI検査を受けました。本人が受診を拒むケースや不安に感じることもあるので、周りの人が本人の心に寄り添うことが大切だと思います。検査の結果、医師から「アルツハイマー型認知症」と診断されました。
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認知症に関するサポート体制について
受けてよかった支援やサポート体制はどのようなものがありましたか?
介護保険で受けられるサービスのおかげで、身体的・精神的な負担が軽減しました。ケアマネジャーの方から在宅介護の知識について教えてもらったことも心強かったです。
私の心の支えになったのは「認知症の人と家族の会」でした。参加者は皆さん認知症の人を介護している経験があったので、症状が進んでいく妻の介護と慣れない家事を一人で担うつらさなどを本音で語り、分かり合えたおかげで苦労を乗り越えることができたと感じています。
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認知症の家族を介護する人に向けて
認知症の家族を介護する人へのメッセージ
福山市には「認知症サポーター養成講座」や「認知症カフェ」など、認知症を支援するための様々な公的な取り組みがあります。それらに参加して認知症を正しく理解することが、本人・家族ともに前向きな生き方につながると思います。悩んだときは一人で抱えこまず、相談してみることが大切です。
人生100年時代、高齢者がなる認知症は脳の老化からくるもので、肩・腰・膝が痛くなるのと同じように、物忘れがはじまったという具合で、決して特別なものではありません。いつご自分の身に降りかかってくるか分かりませんので、決して他人事とは思わないで、ご自分のこととして捉えていただきたいと思います。