本人や家族、支える人の声
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#支援する人
認知症カフェで支援に取り組む
戸手高校の生徒たち
認知症カフェを運営する戸手高校の小林さん、北村さん、朝倉さん、野田先生
Profile
広島県立戸手高等学校の教員と生徒たちは、自ら課題を見つけ解決を図る授業「総合的な探究の時間」において、「地域の高齢者の困りごとを解決したい」というテーマの課題探究に取り組んでいる。この一環として、生徒が主体となって認知症カフェの運営を始めた。生徒たちは、事前に認知症に関する正しい知識を学ぶために認知症サポーター養成講座を受講し、そこで得た知識を地域の人々と共有しながら交流の場を作っている。
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支援することを決めた経緯
認知症の方を支援したいと思ったきっかけは何でしょうか?
小林さん:
以前わたしのおじいちゃんが病気で入院したときに、看護師さんが患者さんたちに笑顔で接することでとても安心して入院生活を送っている姿を見て、わたしも将来は笑顔が素敵な看護師になりたいと思いました。入院している患者さんの中には認知症の方もいらっしゃると思うので、将来看護師になったときに役立てることができるのではないかと感じ、支援したいなと思いました。
北村さん:
わたしの祖母は離れたところに住んでおり、普段の生活ではお年寄りや認知症の方と触れ合う機会はほとんどありません。もし身近な人が認知症になった場合も、わたしなりに何かしらサポートができるようになりたいと思い、認知症カフェの運営に参加しました。認知症カフェでお年寄りの方々と出会っておしゃべりすることが楽しくとても好きです。
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認知症カフェを運営して
認知症カフェの活動を行う中で、楽しかったことや難しかったことはありますか?
北村さん:
お年寄りやその家族といろいろお話しできたのがとても楽しかったです。認知症カフェの中で特殊詐欺についての演劇をしたのですが、「とても面白かったよ」と言ってくださったことが特に印象的でした。演劇はわたしたち生徒だけではなく、有志で地域のお年寄りにも出演してもらい、認知症地域支援推進員の方や先生にも指導していただきました。練習時間も限られていたので準備が大変でしたが、みなさんに盛り上がってもらえたので、防犯に少しでも役立ったら嬉しいです。
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認知症カフェの中で取り組んでいきたいことはありますか?
小林さん:
初回は特殊詐欺に関する演劇をして、第二回目はおしゃべりをしながら、お年寄りにミシンの使い方を教えてもらうワークショップをする予定です。他の認知症カフェでは麻雀や折り紙など、頭を使うような遊びをしていたので、わたしたちもコミュニケーションをとりながらできるゲームをしてみたいと思っています。また、今回は席を固定しての茶話会でしたが、席替えをすることでいろいろな方と交流ができて、元気を届けられるような場にしていきたいです。
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事前学習など、運営に向けてどのような取り組みを行いましたか?
北村さん:
最初は「認知症=物忘れが多い」という知識しかありませんでしたが、授業の中で認知症について調べるワークショップをしたり、市内で運営されている認知症カフェに訪問したりすることで、今まで知らなかった認知症のことを知ることができました。認知症カフェに訪問したときに、お年寄りが生き生きと過ごされているのが印象的だったので、わたしたちの認知症カフェでも楽しんでもらえるようにみんなでアイデアを出して、手作りの看板を作ったり、テーブルごとに「今日は何の日」と異なるテーマを書いたランチョンマットを作ったりしました。
野田先生:
認知症カフェを運営するにあたって、まずは生徒がどの程度、認知症について知っているのかを確かめることからスタートしました。最初はほとんど認知症についての知識がなかったのですが、ワークショップ形式で生徒自ら認知症について調べたことを発表したり、認知症サポーター養成講座を受講したりしながら、認知症に関する理解を深めていきました。認知症カフェの内容についても、地域の方や認知症地域支援推進員の方と繰り返し打ち合わせを行い、生徒が主体となって決めていきました。高校生が認知症カフェを運営することで、高校生にしか引き出せないような高齢者の笑顔が溢れる、そして参加した方々に元気になってもらえる、そんな活動になればと思っています。
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これからの支援者へ向けて
支援に興味がある人へメッセージ
小林さん:
これまでは認知症の方と接する機会がなかったのですが、しっかりと耳を傾けてお話を聴くだけで喜んでもらえたことがとても印象的でした。難しいことや特別なことをしなくても、コミュニケーションをとるだけでも支援につながるのだと感じたので、自分なりにできる簡単なことから始めてみてください。
野田先生:
福山市内ではさまざまな認知症カフェが開催されています。またそれぞれの認知症カフェでは独自のおもしろい取り組みをしています。認知症カフェを訪れることで、支援に関する新しい情報や繋がりを得ることができ、自分でもできる支援について考えるきっかけになるので、ぜひ一度遊びに行ってみてください。
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